手放す勇気が築く未来_錦江町職員たちの挑戦

2024.10.19

こんにちは。「錦江帖」編集部です。
前回の記事でご紹介した、錦江町職員研修も残りあと半年となりました。研修で生まれたプロジェクトが今どのように進み、職員さんは何を感じられているのでしょうか。プロジェクトに挑戦されている介護福祉課の金川さんと産業振興課の小川さんに、プロジェクトに対する想いや挑戦することについて、お話を伺いました。

金川さん(写真左)と小川さん(写真右)

ー今日はよろしくお願いいたします。今回の研修は二年間で座学と実践という、職員さんにとって珍しく長い研修なのかなと思います。もう一年半前のことにはなるのですが、最初にこの研修の話があった時の気持ちはいかがでしたか?

金川:「何が始まるんだろう」っていう(笑)。何をするのかまだわからなかったので、ちょっと怖かったのは正直なところですね。

小川:私は担当だったので話は知っていたんですが、まさか自分が選ばれるとは、という感じでした。町長からの辞令だったので、普段の研修よりも少し重たいというか、想いがあるからと感じました。

金川:本当に、辞令まで出るなんてっていう。これまでの研修よりも力の入れ方が違うなって感じましたね。

ー実際に研修が始まって、どんなところが印象に残っていますか?

小川:町がこうあったらいいなって思うことと、自分自身がどうありたいかというところをリンクさせる作業が新鮮でしたね。普段は町民さんを中心に置くところがある一方で、自分自身の願いなどを考える機会がなかなかなかったので。

ー普段の仕事とはまた違う取り組みだったんですね。金川さんはどうでしたか?

金川:私が研修の中で学んだなって思ったのが、言葉の意味というものですね。「課題」ってよく仕事で使うんですけど、(講師の)松崎さんが「課題っていうのは、現実とその理想のギャップのこと」っておっしゃったことが印象的でした。自分の中で問題と課題がごちゃごちゃになっていたんですけど、ギャップなのかと分かった時に、これは仕事の中でも活かせる考えだなと感じました。一年間はとにかく座学だったので、正直きつかったですね(笑)。エーゼロさんに伴走してもらっているおかげで進められています。

ー実際に座学が終わって、今はプロジェクトがそれぞれ進められていますよね。お二人が今取り組んでいるプロジェクトを教えてください。

金川:私は子どもの居場所づくりです。母親と子どものケアを七年間担当していたこともあって、自分と「子ども」は離れられない部分があったんです。今も何かあれば後任の担当者と一緒に動いたりしています。
あと自分の子どもが去年転校したんですけど、「学校に行きたくない」とか言ったりしていて。家と学校と学童以外の居場所がやっぱり必要なんだと改めて思いました。自分の仕事と私生活がちょうどリンクした感じがあったので、子どもの居場所でやっていこうと思いましたね。

小川:私は空き家ですね。実家があるし、私も家を持っているので、将来どうなっていくのかなと。あとは地域おこし協力隊とか新規採用職員が町外から来てくれる時に、住める場所が少ないので町営住宅を確認しておかないとってなる時があります。それは大事なことなんですけど、住む場所が他にもあれば、町営住宅が優先度高くならないんじゃないか?って思ったりしていたんです。

ー仕事をされる中で違和感があったんですね。

小川:選択肢が増えればいいよねって思って空き家をテーマにしたところですね。町営住宅に申し込んでもらおうっていうのは、最後の選択肢になってもいいんじゃないかなって。空き家をどうこうしたいっていうよりは、新しく来る人の選択肢を増やしたいし、それで事業として稼げるようになったらいいなって。

ー具体的に今はどんなことを進められているんですか?

小川:最終的にプロジェクトを手放すことまでがゴールになっているので、手放した後の体制をどうするか考えていますね。今ある会社さんにお願いするのか、新たに組織を作るのか、協力隊を募って運営を任せるのか、、。
実は、会社を作った方がいいと思って事業計画書を金融機関に相談したんですけど、自分で役員になったら手放せないし、副業だからダメだって気づいちゃって、どうしようかなと思っています(笑)。

金川:私のところは、協力してくれる人は集まりそうなんですけど、必要なのはお金だなと思って。チームの中で、子どもも高齢者もだれでも集える居場所を掲げてやろうと思っているんですけど、補助金とかは対象者を絞らないといけないんですよね。でも自分たちがやりたいことは貫きたいので、そこに合う補助金がなかったらクラウドファンディングしないといけないかなと。迷っていますね。
やっぱり利用する人からはお金を取りたくないので。想いに共感して寄付をしてくださる方や企業さんを見つけることも考えています。

ープロジェクトを手放すところまで持っていくのがなかなか難しいところですね。

金川:私も一回自分の事業にして、自由に動き回れるように(法人を)立ち上げようかなと思ったんですけど勇気がなくて。だから小川さんが金融機関まで相談したっていうのがすごいですよね。でも、やっぱりどこかで手放さないといけないとは思いますね。私たちが抱えたままだと、担当が変わってしまえばできなくなるから。

小川:職員向けの研修だから、手放すところまで導かないとですね。

金川:時々お手伝いをさせてもらったりとか、何かの形で携われたらいいですね。

研修の様子。

ー課を超えたチームとしてプロジェクトを進めることについてはいかがですか?

金川:私のチームには同じ課の課長もいて、共通の話題も多いので情報交換やとか悩んでることとか、話す機会が増えましたね。他のチームはどんな風にコミュニケーションとってるのかなって気になったりしてます。

ー小川さんはいかがですか?

小川:私のところは三人で進めていて、私以外の二人は一緒に仕事をしたことがあるメンバーなので、特に違和感とかはないですね。私が「こういうのやりましょう!」ってガリガリやっていって、周りが「まあまあまあ」みたいな(笑)。

金川:普通は発表の後に補足とか言わなかったりするんですけど、小川さんのプロジェクト発表の時は周りの人がフォローしたり聞き返したりしてましたよね。いいメンバーだなって思ってました。

ー研修を受けて良かったなと思うことはありますか?

金川:これまで、事業の組み立て方とか道筋のつくり方を知らなかったので、今回みたいな研修があって勉強になりましたね。
あと、役場では今までも色んな事業が立ち上がったけど、担当者が変わるとうまくいかなくなることもあったと思っていて。せっかく今回立ち上げたからには持続可能で、この熱量で続けていけるような事業をつくりたいと思っています。

小川:今回久しぶりに、自分の好きなテーマでできたのは良かったですね。私も役場の中では中間の世代になって、怒ってくれる人が減ってきたんですよね。だからミスしちゃいけないと思ったり、無駄に守りに入ったり。こうやって好きなように突っ走るのもたまにはいいなって思いました。

金川:私も小川さんと一緒で中間の世代ですけど、自分たちも出来ないなりに頑張ってますよっていうのは下の子たちにも知ってもらいたいですね。一緒に補い合ってやっていこうよっていう思いが伝わればいいなっていうのもあります。私たちが上手く若い世代と上司の人たちとの緩衝材のようになって、どちらも盛り上げていけるようにしたいですね。

ーお二人の熱量が周りの職員さんたちにも広がっていったらいいですね!今日はありがとうございました!