「地域の資源を活用する」LOCAL VENTURE SEMINAR特別講座が開催されました!

2024.12.16

こんにちは。錦江帖編集部です。

錦江町でチャレンジしたい方を対象にした、LOCAL VENTURE SEMINAR。
第3回目では、一般社団法人横川kitoの白水梨恵さんを講師とした「地域の資源を活用する」というテーマで特別講座が開催されました。
地域資源を活用したチャレンジをしたいと思っている方はぜひこの講演レポートを読んでいただけたらと思います!

講師:白水梨恵さん

1987年、鹿児島生まれ。立命館アジア太平洋大学卒。大学時代に大分県別府市でまちづくり活動に関わる。卒業後はEC販売・商品開発に従事。その後、NPO法人ETIC.にて人材育成コーディネーターを経験。2013年に鹿児島へUターン、2017年には霧島市へIターンし、人材育成やキャリア教育事業に携わる。2020年11月に一般社団法人横川kitoを立ち上げ、現在は横川町を拠点に鹿児島県内の地域づくり事業を行いながらカフェ&ゲストハウス横川kitoを運営している。プライベートではトレッキングが趣味の3児の母。

横川についてと事業内容

まずは、白水さんが拠点にされている横川町と事業についてのお話。
横川町は鹿児島空港の近くにあり、霧島市の北の端にある地域。人口は約3200人で高齢化は40%と、霧島市でありながら環境や地域資源が国分など中心街とは全く異なる地域です。
白水さんは横川町で、横川kitoというカフェ&ゲストハウス、そしてギャラリーと菓子製造の「横川正丸屋」の2つの拠点を軸に事業をされています。

横川kito

横川kitoは、横川という町をもっと外の人に知って欲しいと、築95年の空き家を改修し、1階をカフェ、2階をゲストハウスにした建物です。そのほかにも、企画事業として研修会や町のビジョンづくり会議の運営などもされています。
空き家改修は普通であれば1年かからないものを、70名の方々にDIYに参加してもらいながら約2年間かけて改修し、オープンされました。

カフェやゲストハウス、企画事業など一見バラバラにされているようにみられますが、DIYに参加した人たちが企画事業の仲間になってくれたり、企画事業のイベントに参加した方々が飲食のスタッフになったりと、それぞれの事業が相乗効果となって人やモノ、コトが循環していると白水さんはおっしゃいます。
DIYやイベント企画など、事業の関わりしろをいかにつくるかが、地域資源を活用するヒントになりそうです。

横川正丸屋

白水さんのもう一つの事業拠点である「横川正丸屋」は、旧池田家住宅と呼ばれる国の有形登録文化財を改修した場所です。小売や貸しスペース、ギャラリーなど、地域の人たちが活用できる拠点になっています。
もともと横川はこの建物を中心に、伊佐からの米を鹿児島市内へ、姶良の塩を熊本、宮崎方面へなど、物流拠点としての役割もあったそうです。

横川正丸屋の内観

旧池田家住宅は横川kitoのすぐ近くにあったため、大家さんとも話しながら少しずつ掃除をしたりするくらいで、将来的には何かできたら、、くらいに思っていたとおっしゃる白水さん。
ある時池田家の大掃除と一緒に町歩きのイベントを開催することが、大きく動くきっかけとなったそうです。

そのイベントには市の文化保存会の方々が参加されたり、イベント中に建物の大黒柱がシロアリにやられていたため、DIYのメンバーが床下の補強をイベント後にしたりと、旧池田家住宅に関わる人が増えはじめ、大家さんからそろそろ何かやってくれないかとお願いがありました。
当時は資金がなく、賞金付きのビジネスプランコンテストにエントリーしたらたまたま通ってしまい、2店舗目の着手にとりかからざるをえなくなったと冗談まじりに話してくださいました。

オープンして約4ヶ月経った今は、横川発祥のお菓子「げたんは」の商品開発やチャレンジショップなど、横川で色んな人がチャレンジできる環境を整えたいとおっしゃいます。

地域資源をいかす

空き家やげたんはなど、埋もれているものを掘り起こし、事業としてお金につなげ、人に届けていく。白水さんはもともと飲食業やゲストハウスをやりたかったというわけではなく、①もったいないと思うものと、②関わりやすいもの、③滞在時間を増やせるもの、この3つが重なる部分がたまたま今の業態になったとおっしゃいます。
その結果、直接関わったものだけで開業8件、移住者6名、2拠点1名という素晴らしい実績をだされました。

地域の方との関係性やタイミングで進めていく勢いや覚悟、そしてそれを楽しもうとする姿勢も地域資源を生かしていく上で大切なのかもしれません。

そして講演の最後には、地域資源を活用するうえで大切なことのまとめを伝えてくださいました。
①関わって欲しい人たちを初期段階から巻き込んで一緒にやる機会をつくること。
②ブレることがたくさんあるので、振り返るための軸を明確につくっておくこと。
③地域の資源活用といっても曖昧なので、具体のものを組み合わせること。
例:空き家×宿、お店やりたい人×レンタルスペースなど
④一喜一憂せず、俯瞰して考える。自分を削りすぎず、逃げ道や息抜きをつくっておくこと。

いかがでしょうか。もしご自身の活動で参考になるところがあれば、ぜひ照らし合わせながら実践していただけたら幸いです。

最後に、参加者の中からは質問もたくさんありましたのでいくつかご紹介します。

Q.巻き込むためには理解してもらい、楽しく無理なくする必要があると思っていますが、巻き込むことを理解してもらうための手法はありますか?
A.(白水さん)手伝いに来てくれた人に、この人は何を目的に来てくれているのか、相手のニーズを収集することを常に意識していました。建築士だけれど、現場や大工さんのことを全然知らないから、仕事に活かせるようにDIYに参加していたという人もいました。
それぞれ来てくださった人に対して、やりたいことをやれたという達成感を味わってもらうことを意識していました。

Q.人を集めるのは大変ですが、どういう風に発信していましたか?
A.(白水さん)インスタは空き家を改修する最初の頃からアカウントをつくり、発信していました。SNSは意外とメディアの人たちも見てくれているので、地道だが発信し続けることが大切だと思います。
DIYの人たちは、実際に知り合いの人は70人中20人くらい。それぞれが友達を誘ってくれて、話したことない方も来てくださっていました。

参加者の中には実際に事業をされている方も多く、ご自身の活動に照らし合わせながら質問されていることも印象的でした。
白水さんの活動のお話を通して、皆さまの次なる一歩になれれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました!